平成19年(ワ)第2552号損害賠償請求事件
原告 難波電話電気工業
被告 

                         答  弁  書

                                平成19年10月19日

神戸地方裁判所第4民事部1係 御中

                                       被告  

 第1 請求の趣旨に対する答弁
  1 原告の請求を棄却する。
  2 (1)に関して原告の請求を棄却する。                 
    (2)に関して原告の請求を棄却する。
  3 訴訟費用は原告の負担とする。
 との判決を求める。

 第2 請求の原因に対する答弁
  1 請求原因第1項中、原告が自営電気電気通信設備の設置工事の請負を
    業とするものであること及び被告が原告会社の元従業員であることは
    認める。
  
    また被告が原告会社に対する信用及び名誉毀損行為を行なったとする
    主張については否認する。最初に訴状を見た時に何を書いてあるのか
    理解できずに取り乱し、原告代理人に詰め寄りご迷惑をお掛けしたこ
    とをここに謝罪するとともに、意味不明の訴訟に対する憤りもここに
    表明する。

  2 請求原因第2項(1)中、被告が原告会社に雇用されたことは認める。
    神戸税関に対し「原告会社が違法な業務遂行をしていると指摘した」
    との主張は否認する。平成19年10月9日に神戸税関の総務課の石
    井氏に架電して訴状記載内容を確認したところ、文章の保存期間を経
    過した内容なので確認のしようがないとのことであった。
   
    一般論で考えてみるに、税関とは「麻薬」や「拳銃」などの情報を
    元に水際でそれらを摘発する役所であり、情報の管理には厳しく被告
    から得た情報を原告にそのまま漏洩するとは思えない。したがって被
    告が神戸税関に訴状記載の内容を相談したとしても、そのことを原告
    は認識し得ないはずである。

    原告は郵政省(当時)に照意見会したと主張するが、郵政省(当時)
    のどの部局の誰と、どうような内容を照意見会したかは文面からは不
    明であり、「法令上の違反はない」との確認を行なったと主張するがそ
    れに関しては照意見会した内容も不明であり不知。また関係者につい
    ても不知。被告が法令の解釈を求める時は、必ず複数の総合通信局及
    び総務省・総合通信基盤局に同じ内容で照合するようにしている。一
    人の担当者だと勘違いや聞き違いが発生する恐れがあるからである。

    舞子ビラに対する同様の指摘…についても否認する。被告が舞子ビラ
    の新本館の電気通信設備(電話交換機等)の工事に携わったのは平成
    10年の春からだが、原告社員の森氏と宮本氏と被告の3名で現場に
    入っていた、ある日、自動火災報知機等の工事者に「119に自動的
    に通報する装置」に直通電話回線を接続するように依頼された。「11
    9に自動的に通報する装置」は消防庁の通達[消防予第22号](乙4号
    証)により消防設備士(甲種4類)という国家資格がないと工事・保
    守できない。それを相談したことはあるが、原告が主張する「同様の
    指摘」というのは否認する。

    インターネットの『難波電話電気工業の疑惑』(現在閉鎖中)及びイン
    ターネットに「誹謗中傷」の書き込みをしたことについても否認する。
    在職中は、工事部の木村氏・中西氏の2名からなる班のどちらも「工
    事担任者」の資格を持っていないことを当事者や保守の担当者の木野
    氏から聞いたことや、当時被告は「アナログ1種」(乙2号証)と言う
    資格しか取得しておらずISDNなどのデジタル回線を工事できない
    のに、現場で接続工事等に携わっていた事実を書いたことは認める。
    現場(内線電話・LANも含む「端末設備」工事)においては、必ず
    1人は工事担任者の資格者を担当させるように総務省・近畿総合通信
    局の電気通信事業課の田中氏が指導しておられるからである。

  3 同様に、請求原因第2項(2)中、西宮市役所教育委員会についても
    同様に否認する。富士通お客様センター、富士通アイ・ネットワーク
    システムズについも同様に否認する。いずれの相手に対しても原告の
    信用や名誉を毀損したことはない。平成19年10月15日に西宮市
    役所教育委員会の米沢氏に架電して訴状記載内容を確認したところ、
    一般論としては個人に関する情報を漏洩することはないが、調査して
    みるとのことである。富士通関係は原告が富士通の代理店なので、代
    理店契約に関しての質問をしたことはあるが、被告の信用や名誉を毀
    損したことはない。

    被告から原告会社に架電・内容証明にて「工事担任者の資格者証の開
    示」を要求したことは認める。本郷弁護士より内容証明が届いたこと
    も認める。原告会社専務に架電したことも認める。同専務の話す内容
    は、後日、兵庫県警・生田警察署の生活安全課の宮田氏から聞いた報
    告と真逆の内容であった。同専務は「工事部全員が工事但者の資格を
    所持している」と主張しているが、生田警察署の調べによると原告会
    社の工事担任者の資格者は当時1名しかいないということである。
   
    また「請求の原因2項(3)」において、神戸市・須磨区役所・長田区
    役所・垂水区役所に「同様の指摘」をしたことも否認する。神戸市に
    関しては平成19年10月9日に、市民情報サービス課の青石氏に架
    電して確認したところ、平成19年10月18日に回答があり区政振
    興課と区役所とのやり取りはあったが、訴状に記載しているような内
    容を原告とは話しをしていないとのことである。須磨区役所担当職員
    の内藤氏に、平成19年10月10日に架電して確認したところ、訴
    状に記載しているような内容を原告とは話しをしていないと証言して
    いる。垂水区役所担当職員の河本氏に、平成19年10月10日に架
    電して確認したところ、訴状に記載しているような内容を原告とは話
    しをしていないと証言している。長田区役所担当職員の脇坂氏に、平
    成19年10月11日に架電して確認したところ、訴状に記載してい
    るような内容を原告とは話しをしていないと証言している。

    本来、被告が市や区役所に「相談・質問」をした時の、個人名やその
    内容をどうやって特定したのかを立証する責任は、原告が負うべきで
    あると解する。

    2ちゃんねる等インターネットの投稿に関しては、具体的にどの投稿
    のどういう表現が「虚偽の真実」「誹謗・中傷」に該当するのかを、ア
    ドレス(URL)と文章を示してもらわないと答弁のしようがない。

  4 請求原因第3項記載の事実は全て否認する。
      
 第3 被告の主張
  1 原告が主張する原告の"正当性"の根拠は、請求の原因第2項(1)
    から引用すると、「自己の工事実施実態について郵政省(当時)に照意
    見会してみたところ、電気通信回線に接続するときには工事担任者が
    実地に立ち会っており、法令上の違法性はないとの確認を得た」と言
    う抽象的な内容のみである。"確認"の具体的・客観的内容が開示され
    ていない以上、鵜呑みには出来ない。

    もし、原告に"違法性がない"ということを証明したいのなら、当時
    の原告会社社員が保有する「工事担任者」の資格者証に関する情報を
    開示し、工事の実態を開示したうえで法令に照らし"違法性がない"
    旨を主張すべきである。この点に関しては、本事件の最大の争点であ
    るとともに、被告の主張を裏付ける重要な書証でもあるので、別途「文
    書提出命令」を申立てる。

    被告が兵庫県警生田警察署生活安全課の宮田氏に聞いた話によると、
    平成17年当時、原告会社には「工事担任者」の資格者は1人しかい
    なかったとのこと(被告は平成17年8月9日に同署同課の桑野氏に
    原告についての相談をしていた)。原告会社では、複数の工事や保守が
    同時に進行することも多く、1人の資格者で全ての現場を完全に網羅
    し得ない。"実地に"という条文の文言の示すとおり、現場毎に工事・
    監督が求められているし、各現場に必ず1人の工事担任者の資格者を
    配置するよう総務省・近畿総合通信局の電気通信事業課の田中氏も指
    導している。
   
  2 請求の趣旨の(2)に関して…訴状で主張する「虚偽の事実」「誹謗・
    中傷」等がどのような内容なのかを示すアドレス(URL)も示さず、
    どの表現がどう虚偽なのか具体的に示していない。しかもインターネ
    ットは匿名で投稿された内容がほとんどなのに、投稿者を特定するI
    Pアドレスの提示も無しに、何もかも全て被告の投稿と断定するのは
    酷ではないか。しかし私は「電気通信主任技術者」(乙1号証)の資格
    者として、「虚偽の事実」「誹謗・中傷」等が明確になれば、速やかに
    同様の内容の投稿は停止・削除等の対処を行なう所存である。
  
 第4 今回の事件に関して、関係各所に問い合わせ等で多大なご迷惑をお掛
    けしましたことを心よりお詫び申し上げるとともに、原告の憶測・推
    測によって起こされたとしか考えられない今回の事件が、早期に解決
    できるようにあらゆる努力を致してゆく所存です。

 第5 証拠方法
    乙第1号証(被告所持の電気通信主任技術者資格者証)
    乙第2号証(被告所持の工事担任者の資格者証)
    乙第3号証(被告所持の消防設備士甲種4類資格証)
    乙第4号証(消防庁通達「消防予第22号」の一部)
    乙第5号証(改正資格者証の種類と工事の範囲)
    乙第6号証(原告に対する「質問状」の内容証明郵便)



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